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「ドイツビジネスセミナー」に参加して

会員 中島 英樹
3月7日(水)に行われた兵庫県国際交流協会、兵庫EU協会他主催の「ドイツビジネスセミナー」に参加しました。セミナーのタイトルから見て実務者を対象としたセミナーと思われたので受講をためらいましたが、演題の一つ「ブレグジットのその後~今こそドイツ進出の好機~」に興味を魅かれ参加しました。
講演はデュッセルドルフに拠点を持つ弁護士とその日本拠点の弁護士二人で行われた。講演の第一部が、日本企業がドイツに拠点を確保する方策の中で有効なM&A(企業買収と合併)の魅力とM&A戦略について、いろいろな角度からの統計をもとに話された。ここ数年ドイツに対するM&Aを含めた直接投資は増えていて今後もますます増加するものとみられている。日本企業に投資先としてドイツが選ばれる理由のいくつかの例として、ドイツには日本に類似の法的環境があることと、安定した税制や政治状況にあることなどがあげられた。講演の第二部では、日本企業がM&Aを含め実際にドイツに進出する際に必要となる、拠点設立のための情報収集方法や設立のための登記等多岐にわたる準備作業と社屋や社宅を確保すること等々の実際の設立作業について説明がされた。更に、設立から実際の拠点運営に必要な労働法を始めとする各種法律が示された。
以上が講演の大雑把な内容ですが、参加しての感想は、一つは、定員を大きく上回る多くの方が参加していてドイツ進出への関心の強さが感じ取れたことです。また、参加者の多くは神戸市所在ないしは、県内所在の企業の企業主と担当者と推測されますが、海外に向かって進出して行こうする結構強い活力が感じられ、頼もしく思いました。また、日本国内での企業買収や合併その他支店設立でも、多岐にわたる情報収集や手続きをもれなく、計画通り行うことは、なかなか骨の折れることと思う。まして、文化や法律を始め諸制度の違うドイツでスムーズに行うことはなかなかむつかしいので、今回のような現地に活動拠点を持ち、現地の諸事情に明るく実際に活動している弁護士等の選定も大きなポイントになるかと思われた。講演を聞きながら、自分の現役時代で、確か1980年代から90年代にかけて、米国の生産物賠償の賠償金が高騰し、生産物賠償責任保険の手当てが難しくなったことがあった。このことは、米国へ製品を輸出しているメーカーや輸出業者や、現地に生産拠点を持つ自動車や工作機械メーカー、更には米国進出を計画していた企業に大きなインパクトをあたえ、大きな障害を抱えることとなり、各社とも対策が急がれたことがあった。これに対する米国の大手保険ブローカーなどが、日本の保険会社などとタイアップして、米国向けの輸出メーカー等の企業に最新情報を提供するビジネスセミナーが各地で開かれたことが懐かしく思い出されました。
前述のように最初は受講をためらいましたが、現地事情を熟知している弁護士ならではの大変興味深いセミナーで受講してよかったと思いました。交流協会からはメールマガジンでイベントの案内をいただいていて、これまで三回講演会に参加しましたが、これからもできるだけ積極的に参加を心がけたいと思いました。