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塞翁が馬(2016年4月27日/第9回 『ドイツ語と出会って』感想文)

第9回ドイツ文化サロン
自分の意志で海外へ行き、キャリアを積まれた方のトップバッターとして大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館の飛鳥井たまきさんのお話を伺うことができました。2004年から総領事館で勤務され、文化部を担当、また総領事の通訳として忙しく毎日を過ごされているようですが、好きな仕事、ご主人様、お嬢さんに囲まれ毎日が充実しているそうです。
しかし、ここにたどり着くまで、様々な紆余曲折がおありになったようです。しかし、お話をお伺いしていると、どんな時も前向きでポジティブなお姿に勇気と元気を頂戴いたしました。
飛鳥井さんのお話をお伺いしていると、その人生にはいくつかのターニングポイントと影響を与えた人たちがいたように思われます。
ご本人の弁によれば、ご家庭の状況もあり、条件に合うように消去法で不本意な大学入学をされたということですが、そのような中でも、学力、人格においても一定の高いレベルを保っておられたのは、現在のお姿につながっているように感じました。
大学時代に、知り合いのご家庭のお嬢さんから、ベルリン生活の様子を聞いたことで、淡いドイツ語に対する思いを持たれたようです。また、ドイツ語の論理的でクリアな部分が性格にも合っていたのかも知れません。大学の選択科目もドイツ語を選ばれました。通っていた大学がハイデルベルク大学と学生交換をしていたことから、留学経験のある男子学生に積極的に相談をし、未知の世界を経験したいという大きな目標のもと、留学選抜試験を目指し努力なさったのだそうです。しかし、希望は叶わず、相談者でもあった彼との別離も同時に訪れ、人生での大きな挫折を味わいました。
しかしその後、視点を変え、私費でドイツ留学を果たした後、女子寮での生活を通し、ドイツ語能力をどんどん高めていきましたが、特にドイツ語学校での「かな子ちゃん」との毎日の授業の確認作業が、大きな成果をもたらしたようです。
帰国後、大学院へと進まれるのですが、この時の「大学院への進学について相談した男性(後のご主人様)」との絆は、しっかりと現在に至っておられます!ドイツ留学中から始めていた通訳のお仕事を帰国後も続け、重要な代表団や様々なシチュエーションでの実績を積まれました。通訳者の勉強会で、メモの取り方などのスキルを磨かれたそうです。通訳業務の事前準備をされているお話には、頭が下がる思いです。どのような分野にも対応しなければならないので本当に大変です。そうこうしているうちに、総領事館から通訳官の面接のお誘いを受けられましたが、残念にも他の方が採用されましたが、その後も通訳の実績を積まれ、家庭的にはお嬢さんの誕生もあり、3年後再び総領事館からのお誘いがあった時には、「満を持して」という言葉がピッタリ!総領事部文化部でのお仕事が始まったのです。
休憩(お食事)時間を挟み質疑応答では、日本語とドイツ語との細かいニュアンスの違いはあるにせよ、話し手が何かを話したら必ず何かの言葉で通訳するよう努める、資料は必ずしも早く手に入るとは限らないので、通訳するテーマについて自分から積極的に集めるように努力するなど、日々の並々ならぬ努力が垣間見えます。緊張を強いられるお仕事にもかかわらず、若い人へのメッセージは「塞翁が馬」と、様々な挫折の後、好きな仕事と愛する家庭に囲まれている飛鳥井さんご自身が、本当に「今」を楽しんでいらっしゃるのだと感じました。
最後に印象に残った講演者としてカウダーキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)院内総務の名前を挙げられました。次回の来日講演会を楽しみにしています。
(会員 Sung Kwang-Hye)
(開催案内)第9回 ドイツ文化サロン 『ドイツ語と出会って』