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神戸市立外国人墓地の見学会

神戸日独協会の催しで神戸市立外国人墓地を見学してきました。2017年1月は神戸開港150年。「神戸で活動したドイツ人と地域との交流の足跡を今日的なグローカルな観点から今一度辿り、神戸とドイツとの交流の特質を明らかにして、これからの交流の将来像を考えたい」ということで、一般の公開日とは別に、ガイドさん付き見学の機会を賜ることができました。今回は奈良日独協会や和歌山からもご参加いただき、参加者同士の親交を深めながらの見学会となりました。

事前に墓地見学時のマナーについて説明がありました。具体的には、大きな声で喋らない、見学ルートを外れない、写真撮影は許可エリアのみなど、故人の眠りを妨げないことが原則です。このマナーやご遺族のご意向もあり、ドイツ人のお墓にフォーカスした見学は難しいのですが、神戸の文化・教育・経済等の発展に寄与した外国人の方々のお墓の解説を一通り受けることができました。



お墓は概ね宗教ごとにエリア分けされています。墓石の形状が多種多様、故人の信条や生前の職業を示すシンボルがあしらわれている点、また区画がきっちりと仕切られていない(ように見える)点が日本のお墓とは明確に異なる点です。国別の基数としては、イギリス、アメリカについでドイツが3番目に多く、神戸では身近な存在のモロゾフさんやフロインドリーブさんのお墓もここにあります。
個々のお墓すべてに対し解説があるわけでは無いので、墓石に刻まれた文字列からどこの国の墓なのかを推測する必要があります。もちろんドイツ語を探しながら見学しました。
印象的だったのはフリーメイソン会員のお墓。ハッキリとあのコンパスと定規のシンボルが刻まれており、「会員であることは秘密」がルールだと思っていた私は思わずスケッチしたのでした。この見学日の時点で55基があるそうです。
それから、墓石に刻まれた「R・I・P」*1「IN LOVING MEMORY OF ○○○」*2「HIER RUHEN IN FRIEDEN」*3といった文字列の一つひとつも自然と目で追って歩きました。
そして今回、個人的には一番鮮烈な記憶となったのは、ゾロアスター教のお墓でした。「拝火教」の名の通り、燃え盛る炎のシンボルがあしらわれています。キリスト教徒、ユダヤ教徒、イスラム教徒、ヒンドゥー教徒でしたらしばしば街中で、あるいはTVで見かけることがありますが、ゾロアスター教については未だかつて世界史の教科書以外で目にしたことがなかったので、描きとめずにはいられなかったのでした。

ドイツ人のお墓に関してはごく限られた見学となりましたが、明治以来、日本と関わりをもった外国人など約2,500柱の一部を壮観することができました。約150年の間に、ここで見えているだけでもこれだけの外国人が神戸と交流があり、故人一人ひとりが日本を、神戸をどのように見ていたのか、具体的にどんな交流があったのか、あらためて知る機会ができると良いなと思いました。そして私は、ガイドさんからご紹介があったゴードン・スミスの「ニッポン仰天日記」を後日、手にしたのであります。


解説いただいたお墓は下記の通りです。
・ジョン・マーシャル<英>(神戸港の開発)
・エドワード・ハズレット・ハンター<英>(造船業)
・アレキサンダー・キャメロン・シム<英>(18番ラムネの発明)
・モロゾフ<露>(洋菓子)
・イライザ・タルカット<米>(神戸女学院創始者)
・エドワード・クラーク<英>(日本ラグビーの父)
・ゴードン・スミス<英>(博物学者)
・フロインドリーブ<独>(パン職人)
・ヘルマン・ボーネル<独>(板東俘虜、日本初の”第九”演奏会)
・ジョセフィーヌ・ドレン<仏>(オシャレ・ハイカラ・モダンな神戸文化に貢献)
・フランス水兵のお墓(堺事件の犠牲者)
・アメリカ艦隊遭難事故のお墓

神戸市立外国人墓地は森林植物園の一つ前のバス停、再度公園(ふたたびこうえん)の中で、六甲山上にあります。この日は梅雨の中休みの快晴。甲子園球場3個分の敷地の中を約2時間程度で、500mlのペットボトルの水2本を飲み干せるほどの暑さも記憶に残った見学会でした。

*1:欧米の墓に刻まれる文字。ラテン語 Requiescat in Pace の頭文字で、「安らかに眠れ」という意味。英語バクロニムで Rest in Peace と書かれることもある。 (Wikipediaより)
*2:葬った側から、亡くなった方へのメッセージ。「あなたを偲んで」
*3:「安らかに眠れ」という意味(Wikipediaより)


(開催案内)「神戸市立外国人墓地」見学会/Führung durch den Ausländerfriedhof von Kobe

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